辻 石斎
北大路魯山人が大正14年開業の「星岡茶寮」のためにデザインし、二代目 辻 石斎と作り上げたひょうたん型の弁当箱。PHAETONで特注品をお願いしたものの唯一の原型品。 指物の技術を駆使した大小の檜の曲物を繋ぎ合わせ瓢箪型を形作り、その後漆塗りと蒔絵によって完成する。曲物は通常このような長期間使用する器には使われないが、数百年にわたり山中の技術と知識が統合された結果、魯山人と二代目 辻 石斎により実用に耐えうる器として結実した。未だに職人が息づき漆塗りに適した環境である山中でしかできない器である。
空気中の塵との戦いの中で行なう上塗の作業と適度な温度と湿度を保った漆風呂と呼ぶ室の中で乾燥させる。 神経のはりつめたきめ細かい手仕事を繰り返し完成する作品は漆独特の艶やかな美しい仕上がり。